■k studioはどのような劇場なのでしょうか?
シネマシティ株式会社 雨宮氏
雨宮 「シネマシティにはシネマ・ワン、シネマ・ツーの2拠点があるのですが、k studioはシネマ・ワンにある座席数175席の丁度良い大きさの劇場です。元々舞台装置のあった劇場で舞台上にスクリーンを配置しています。k studioは形状や材質によるものなのか、鳴りが良く、非常に元気のある音が出る劇場としてファンも多い空間です。」
■その中でAHMはどのように運用していますか?
雨宮 「シネマプロセッサーから出力された7+1chを入力し、AHMでマトリクスを組んで調整し、各スピーカーに振り分けるスピーカーマネージメントシステムとして運用しています。以前のスピーカーマネージメントシステムは時代も古いもので、サンプリングレート、ダイナミックレンジも低かったため、かなりの音質のアップグレートにつながっています。また、リモートコントローラーIP-8も導入しており、舞台挨拶時はIP-8のフェーダーを上げるだけでマイクの調整が行えるので非常に便利です。」
岩下 「映画館というのは運営の特性上、機材の入れ替えは夜から朝までの間にすべてを完了しなければいけないのです。そして、入れ替えた次の日から新しい機材での運用が始まる。同じ演目だからゆえに音の変わりようはすごく感じましたね。」
雨宮 「本当に衝撃を受けました。解像度や音の粒立ちがはっきりと把握できるようになり、感動しました。他のスクリーンと比較しても今のk studioの音質は明らかにグレードアップしたと思います。10月に運用を開始したばかりなので、まだこれからもっと活用していくと思いますが、導入以来、何の問題もなく、安定して運用できています。」
■AHMを導入した経緯を教えてください。
岩下 「元々、私は昔からALLEN & HEATH製品に親しんでおり、GLDやdLiveなどのデジタルミキサーを仕事で活用していました。そのころから音質や操作性、レイテンシーの低さには非常に高く評価していたのです。そんな中、シネマシティさんの機材改修の相談を受けまして機材の選定を行っていたところ、AHMという製品に高いポテンシャルを感じたのです。」
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ラック内に実装されたAHM64(左)、リモートコントローラーIP-8(右) |
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■AHMは元々は商業施設などの固定設備のゾーニングを行うプロセッサーとして開発されました。
株式会社ビーフリー 岩下氏
岩下 「そうなんですよね。それは存じていたのですが、シネマ用のプロセッサーとしても十分対応できるスペックだと考えました。96kHzの高解像サウンド、非常になめらかな周波数制御、精度の高いEQなど、今までのマネージメントシステムと比べて格段に能力が上がったと思います。」
雨宮 「商業施設用途は知らなかったのですが、そうだとしたらオーバースペックですよ(笑)もったいないくらいの高音質だと思います。」
■AHMのなかでもAHM64を採用した理由を教えてください。
雨宮 「AHMは64と32、16と3モデルありますが、結果的には最も入出力の多いAHM64を導入してよかったと思っています。保守検査の際は各出力のモニタリングを行う際、出力ポートがたくさんあることでルーティングが非常に楽です。映画館のような改修に時間が限られる現場では簡単に希望の音源を手元に出して確認できることはとてもメリットだと思います。」
左からAHM32、AHM64、AHM16
■それでは今後の課題や展望をお聞かせください。
AHMの設定インターフェースSystem Manager
雨宮 「まず、AHMを導入しているシステムとしてはインタフェースであるSystem Managerを熟知してさらに応用した運用をしてきたいと考えています。System Managerはまだ触った程度ですが、非常に直感的にわかりやすいインターフェ―スだと思います。将来的な夢かもしれませんが、AHM64でドルビーアトモスを構成できたら、と考えています。また、これだけ良い音になっているので、k studioでも極上音響などの特別上映を行えるといいですね。」
ありがとうございました。 コロナ禍から脱却し、ようやく映画館で映画を楽しめるようになった昨今。シネマシティは家では味わえないような迫力のある音響、臨場感あふれるスクリーンで映画館ならではの劇場体験を提案しています。その中の1つの装置としてALLEN & HEATH AHMが活躍しています。
機材 |
ブランド名 |
製品名 |
マトリクスミキサー |
ALLEN & HEATH |
AHM64 |