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劇団四季様 JR東日本四季劇場[春]
DiGiCo「Quantum 7T」、「EX007 Quantum」
2021年6月 運用開始
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劇団四季様の数ある専用劇場のひとつ、JR東日本四季劇場[春]にDiGiCoの「Quantum 7T」と「EX007 Quantum」が納入されました。

世界でもトップクラスのショービジネスを展開する劇団四季様。ストレートプレイ、オリジナルミュージカル、海外ミュージカル、ファミリーミュージカルなど幅広いレパートリーを上演しており、年間公演数は約3000回にのぼります。

ミュージカルにおける音響調整やオペレーションについて、技術部音響課の渋谷昌子氏と吉澤紳吾氏、森下要氏に、お話をうかがいました。



▲JR東日本四季劇場[春](浜松町・竹芝)のDiGiCo「Quantum 7T」と「EX007 Quantum」。


●本番をオペレートできることが、すごく幸せ。
音響エンジニアの渋谷昌子氏は、入団11年目のベテランエンジニア。劇団四季の数々の公演をオペレートして来た経歴の持ち主です。エンジニアは数年ごとにローテーションされるそうで、渋谷氏は[春]劇場に来て、2年ということです。同じく音響エンジニアの吉澤紳吾氏は、3年目のエンジニア。この[春]劇場がエンジニアとして初めての劇場とのこと。渋谷氏がメイン音響、吉澤氏がオーケストラ担当とおふたりでオペレーションされています。

▲音響エンジニア 渋谷昌子氏(左)、吉澤紳吾氏(右)
 
海外作品を日本で公演する際は、海外と同等のクオリティを維持するために、各作品のサウンドデザイナーが作ったロジックファンクション・データをそのまま使用することが必須とのこと。そのままといっても日本の役者に合わせたEQなどの調整は行うとのことですが、2時間を超える公演のオペレーションをひとつも間違うことなく、完璧にこなすことが求められます。サウンドデザイナーに実際に教わってその場で覚え、サウンドデザイナーと音楽監督の2名から承認をもらえなければ、本番のオペレーションはできません。

「渋谷さんは、音楽監督からダメ出しが出なかったほど上手だった。」と渋谷氏の技量をほめるのは、森下要氏。森下氏も劇団四季のベテラン音響エンジニア。「だから誰でもできる、ってわけではないんですよ。」と、誇らしげに語ってくださいました。

▲音響エンジニア 森下要氏
 
「本番中は生のオーケストラなので、音楽は指揮者に合わせればいいんですけど、俳優は同じ曲を歌っていても人によって癖があるので、それを覚えてタイミングを計るというか。手に汗握る感じです。」と語る渋谷氏。本番のオペレートはかなり緊張感を伴うとのこと。「いつもコンソールの縁をタオルで拭いてるよね。」と吉澤氏と顔を見合わせて笑う渋谷氏。毎日同じ演目でも、少しずつ違ってくる生の舞台だからこその緊張感をも楽しんでいるご様子です。

本番のオペレートを担当できることについて渋谷氏にうかがうと、「すごく幸せ」と、感慨深げに答えてくださいました。世界的に有名な舞台のオペレートを担当しているという喜びやプレッシャーもありつつ、それ以上にお客さんの反応にいつも救われているという。特に、お子さんたちの笑い声や楽しそうな様子を見ると、「ちゃんと伝わっていると感じられてうれしい」と語ってくださいました。

▲劇団四季の音響調整ブースは、ステージを正面に見る中央ではなく、下手/上手のどちらかに設置される。これは「いい席はお客様へ」という故浅利慶太氏の理念による。
 

●コントロールサーフェイスとして最優秀
▼ミュージカルに便利な機能を搭載
[春]劇場に入っているSR用のミキシング・コンソールは、DiGiCoの「Quantum 7T」と「EX007 Quantum」。Quantum 7Tは、Quantum 7に「T」が付いたシアターバージョンです。ミュージカルのニーズを取り入れ、劇場に特化した機能を組み込んでいます。EX007 Quantumは、Quantum 7の制御できるチャンネル数と実質フェーダーを増設できる拡張ユニットで、圧倒的なパワーとスピードを備えたハイスペックなQuantum 7のみに許された贅沢なオプション。本公演のようなツーマンオペレーションに最適なツールとなります。
 
▲Quantum 7Tのホーム画面   ▲Cue List画面。場面ごとに様々なチャンネル設定を呼び起こしたり、オートメーションとの連携を行います。
 
気に入っている機能をうかがいました。

渋谷氏:ミュージカルでは同じキャストを何人もの俳優が演じることが多いのですが、このコンソールには各俳優に合わせた設定が保存できる「Player」機能があります。週替わりの変更も俳優の名前を選択するだけでEQやダイナミクスがその俳優仕様に自動で一気に切り替わるので、すごく便利です。

吉澤氏:僕はマクロが好きです。オペレートをしながら手が届くところにスイッチが配置されており、回線の切り替えや、周辺機器のオンオフ等、様々な機能を盛り込むことができます。まさに痒いところに手が届くという感じです。

森下氏:あとは、リハーサルの時に使う「Copy Audio」。「リハーサルモード」と呼んでいますが、これは絶対必要。

渋谷氏:チャンネルソースを録音音源に切り替えられるので、バーチャルのような感覚で練習できます。

吉澤氏:「Alt Input」も助かります。メインキャストにつけているワイヤレスマイクが何らかの原因で使えなくなったときに、パッチの切り替えなしでバックアップマイクに切り替わってくれます。音が途切れるのが一番怖いので。

森下氏:よく利用してるのは、「Auto Update」機能。変更したいシーンの微調整をキューごとに少し作業すれば、全体が更新できます。グループでここからここまでというのもできるし、単独でも全体を変更することもできる。この辺は、良く考えられてるなって思いますね。もっと言うと、ドラムの電子パッドの一つを演者がたたけばキューみたいなトリガーがいろんなところにあって、それがすべてオートメーションで動作するところがすごい。
ローカルの入出力端子はほとんど使用していて、AES、MIDI、OSC、GPIなどあらゆる方法で送受信しています。これだけ多くの信号を表示するシーンの画面も素晴らしい。全部のシーンで自分が何を動かせるとか何かもらうよ、というのが一覧表示されるのもいい。一目で見られてわかりやすい。
反応スピードも早くて、全く気にならない。コントロールサーフェスとしては、間違いなく最優秀です。
 

▲ (左から)森下氏、吉澤氏、渋谷氏

 

▲舞台を支えてくれているスタッフの皆さんと
(前列)吉澤氏、(後列左から)石原愛子氏、中尾彩氏、渋谷氏、仲井風美氏
 

主要な納入機材

機材 ブランド名 製品名
デジタル・ミキシング・コンソール DiGiCo Quantum 7TEX007 Quantum
 

 

▶JR東日本四季劇場[春]

〒105-0022
東京都港区海岸1-10-45


URL:https://www.shiki.jp/theatres/4023/