東京芸術大学で行なわれた箏の音響実験に"4060"が使用されました。
2014年1月17日
東京芸術大学 音楽学部 音楽環境創造科で箏が発する音の指向特性を分析する音響実験が行われ、集音用のマイクロホンとしてDPA Microphonesのd:screetミニチュア・マイクロホン“4060”が使用されました。
音響実験について
●目的:箏が発する音の指向性を研究する。
●場所:東京芸術大学 千住校地 3階スタジオB内に設置した無響設備内
- 計15本のマイクロホン(DPA 4060)は、発砲ウレタンで作成したマイクアレイに固定し、音響校正器を使ってゲインを調整します。
- 箏は立奏台上に設置。台の隙間に無響設備の壁や床に使用している素材を使うことで、反響を遮断します。解放弦13本、グリッサンド上下の計15音を三回ずつ演奏します。箏の位置を変えながら、計7か所で録音します。
- 収録対象の箏を回転させる事で、箏の全面180°、上方90°の1/2 ドーム型を疑似的に作成し、その中で集音。実験では、常に場所が変わらないマイク(奏者頭上)を標準値マイクロホンとして用いて、回数を分けた音源間の音圧の差を補正する予定。
実際に空間に存在する音を正確に捉え、再現しなければならない音響実験においてDPA Microphonesのd:screetミニチュア・マイクロホン4060を実験用機材に選んだ理由を東京芸術大学 音楽環境創造科 亀川研究室の齋藤峻様に伺いました。
「まず最初に取扱いの容易さが挙げられます。具体的に言うとマイクロホン自体が小型である事、そしてその性能の信頼性が高い事です。DPA製品は音響測定用マイクロホンの伝統を受け継いでいるだけあって非常に素晴らしい音質で、コンパクトな4060もまさにその通りです。小さな箇体からは想像出来ないほどパワフルな録音が行なえました。」
「次に個体差の無さが挙げられます。今回のように多くのマイクロホンを使用する実験では、各ポイントに設置されたマイクロホンの個体差が少なくなければ、正確な実験データが得られません。その面でも4060はとても緻密で高性能である事を証明したのではないかと考えています。」
「アライメント(校正器から発音して同距離で録音した物をAudacityで分析した)を行なって私自身が驚きましたが、ほぼすべてのマイクロホンが同じ動作を行なっていました。(それぞれの使用年数は違うにも関わらず)」
「また、今回の場合、マイクロホン本体を一番多く集めることが出来た、というのも理由の一つになると思います。他大学様におきましても音響実験にあたり、多くのDPA4060をお持ちなのを知っておりましたので、お借り出来ればと考えていました。」
「本学において簡易無響室が使用出来た、という条件もDPAの4060無指向性マイクロホンを選ぶ大きな理由の一つです。無響室で無ければ、何かしら指向性を持ったマイクロホンを使用しなければならないからです。」
「DPAマイクロホンは音楽作品の録音だけでなく、DPA Microphones社の前身であるB&K社で長年培われた技術により、音響測定用としても大変信頼性の高い製品だと考えています。測定用にデザインされた他社製のマイクロホンと比べても、4060のような小さなマイクロホンは無いので大変使用しやすいです。」
コンパクトでありながら非常に高い音響性能と再現性を備えたDPA d:screet 4060は、音楽の集音だけでなく音響実験など様々なフィールドでその性能の高さを証明しています。