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下村亮介さんが選ぶ"d:facto"ボーカル・マイクロホン
2016年7月

the chef cooks meでボーカル・キーボード・プログラミング、さらにはASIAN KUNG-FU GENERATIONやGotch、チャット・モンチ―のサポートを務める一方、ソロ・プロジェクト “simoryo”としても活動し、幅広いシーンで存在感を強めている下村亮介さん。このたびDPAのハンドマイクd:factoをお使いいただくことになりました。

―まずはじめに音楽をはじめたきっかけを教えいただけますか?

simoryo両親が音楽好きで、幼いころからジャズやエリッククラプトン、サザンオールスターズなどを聞いて育ちました。

まだ小さいころにピアノを習わせてもらいましたが、男なのにピアノっていうことに抵抗があってすぐにやめてしまいましたね (笑)。もう少しやっておけばよかったと今では後悔しています。あとは中学生のときに両親からアコースティックギターをもらったものの、ありがちですがFコードでつまづき、挫折してしまいました。その後、ハイスタンダードの影響を受けてベース・ボーカルをはじめました。

―今はキーボーディストとしても活動されていますよね?

はい。バンドを始める際にボーカルだけでなく楽器も担当したいと思いました。ただベースもギターもメンバーがいたので、どうしようか考えている時に、あるシンセサイザーと出会いました。最初は指一本で弾いていましたが、いろいろ試したり、シンセサイザーの歴史を調べるうちに鍵盤楽器の魅力に気づきました。僕は思ったものを自由に弾けるようなタイプのキーボーディストではないんです。バンドの一部として、バンドに必要な音を弾く、そして曲調によっては何も弾かないということを意識しています。それは特にASIAN KUNG-FU GENERATIONのサポートをしている時に感じます。僕にとってのキーボードとは、ここぞというポイントを見極めて弾くことでバンドにとっても良い効果をもたらすものではないかなと思っています。

―自身のバンド、ソロプロジェクト、サポートメンバーと多彩に活動されていらっしゃいますね。

そうですね。いろいろありますが、どれも関わり方は同じなんです。サポートメンバーといっても、バンドに関わる以上はメンバーのひとりだと思って取り組んでいます。サポートでも自分のバンドでも同じ、全部一生懸命です。だからすごく楽しいです。正直仕事だと思ったことがないですね(笑)。

―今回DPAのd:factoを選んでいただいたきっかけはなんですか?

d:factoボーカル・マイクロホン友人と一緒に、知り合いがいる楽器店に行った際に、何本かハンドヘルドのコンデンサーマイクを試しました。その時一番高い金額だったのがDPAのd:factoでした。
友人がd:facto含めて数本を試聴したのですが、第一声が「あのマイク、やばいよ!」でした。自分も試聴したところ、ほかの高価なものも含めた中で明らかによかったのがd:factoでした。ほかのマイクと比べて細かいニュアンスを捉える能力が高いと思いました。友人はその場でd:factoを購入しましたが、正直ステージマイクにそこまで高い金額は…と思い、その時は買いませんでした。でも、その後にいろいろ考えたんです。バンドの中でのボーカルの力ってすごく大きいんですよね。やはり声って大事です。だから自分のバンドの時は自分の声を一番うまく再生してくれるいいマイクを使いたいと思い直しました。先ほどの楽器店の知人に改めて相談したところ、d:facto含めボーカルマイクのデモ機をいくつか貸し出していただけることになってスタジオで試してみたところ…やはりあの時の印象と同じでした。何よりもd:factoが歌っていて一番断然楽しかったんです!そこで購入を決めましたね。

―実際にライブで使っていただいてどうでした?

5月に渋谷マウントレーニアホールで行ったライブで初めて使いました。PAさんと一緒にマイクチェックしたところ「とんでもないマイク買ったね。好きなように歌ってごらん、大丈夫だよ」と言ってもらいました。自分の声質は周波数特性に少し癖があるので気にしていましたが、音チェックしてみたらEQも何もしなくて大丈夫でしたね。
僕はいつも返し(モニター)の音は、自分の声だけを強く返さず他の音も適度に混ざるくらいのバランスで調整してもらっていますが、このマイクを使うといつもより声の音量を上げなくてもしっかり聞こえてくるんです。自分の声をそのまま再生してくれていてマイクから離れても低域があまり抜けない、最高に気持ち良くて歌っていて楽しいマイクです。

―d:factoの特長のひとつに、指向性から外れた軸外の音もフラットに拾うというものがありますが、そのあたりはいかがでしたか?

すごく感じました。タンバリンやシェイカーも、場所を気にせず使ってもうまくきれいに拾ってくれるんですよね。これまではタンバリンをたたく位置を毎回変えたりと試行錯誤していましたが、今はすごく楽です。それにすごくハンドリングノイズが少ないですよね。ホルダーにはめる時の音もほとんど気にならないくらい。びっくりしました。

―ボーカリストにとってのマイクはどういうものとお考えですか?

ボーカルが大事なシーンでは、一番いい音にするためにも自分に合った良いマイクを選ぶ必要があると思います。多少お金はかかりますが、そこにはお金をかける価値があると思います。ギタリストは自分の音を格好よくするために、高いアンプやエフェクターで鳴らしますよね、それと同じだと思います。学生の頃だと、ボーカリストはスタジオに置いてあるボコボコのマイクを使うことが多いと思うんですけど、若いボーカリストこそ、自分に合うマイクを探して使って欲しいし、こだわってほしいです。




simoryosimoryo【下村亮介】

2003年に結成したthe chef cooks meのボーカル、ソングライター、シンセサイザー他、あらゆる楽器の演奏やアレンジメントまで担う中心人物。

紆余曲折ありながらも、結成10年目の2013年、ASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文をプロデューサーに迎え、金字塔ともいえるアルバム『回転体』を発表。10年目にして自他共に認める最高傑作を作り上げ、まるで息を吹き返したかのようなライヴパフォーマンスで各地のミュージックラヴァーを賑わした。

そんなバンドのフロントマンでもありながら、一方ではシンセサイザーを中心にあらゆる楽器を駆使し、バンドのサポートメンバーを務め、あらゆる作品に参加するなど、その才能を発揮している。過去には磯部正文(HUSKING BEE)やLITE、COMEBACK MY DAUGHTERS、チャットモンチーなど。現在はASIAN KUNG-FU GENERATION、Gotchバンドなど、楽曲に絶妙なスパイスを加えている。

時にはフロントマンとして、時にはサポートメンバーとして、たくさんの経験を積んだ彼が更なる音楽表現の場を求め、活動を行なっている。