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開催レポート[後編] DPAトークイベント「フィールドレコーディングの舞台裏」
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2024年8月14日

前回の続き、DPAトークイベントの実施レポート[後編]です。
開催レポート①はこちらから⇒

今回のトークイベントでは、河村様が普段使用されている機材の展示コーナーと、DPA Microphones製品の試聴コーナーをご用意しました。

左がDPA製品の試聴コーナー、右が河村様機材の展示コーナーです。 どちらも大盛況でした!

 

 

特に河村様の機材では、みなさまとても熱心にご覧になっていました。
休憩中とトーク終了後には、河村様が直接説明されていたのですが、次から次に質問があり…順番待ちになるような状況でした。

 

今回参加された皆様、トークイベント中も、頷きながら話を聞き、メモを取り・・・とにかく熱心な姿が見られました。イベント全体を通して、終始活気があり、熱意を感じられる雰囲気でした。

DPA製品の試聴コーナーです。

 

同時に4名が試聴できるシステムです。
当社取扱いALLEN & HEATHのパーソナルミキシングシステムME-500を使用して、10種類のマイクを切り替えて試聴できるよう準備をしました。

試聴用に用意したDPAマイクです。
4006A(無指向性)
4011A(単一指向性)
4017B(ショットガン・マイク)
2017(ショットガン・マイク)
2012(単一指向性)
2015(ワイドカーディオイド)
4097 Micro(ショットガン・マイク)
5100(サラウンド・マイク)
6061
4061

 

DPA 4006は、河村様が信頼を寄せる無指向性マイクロホンで、トークでもよく登場しました。透明感のある自然な音質で、繊細な響きも逃さず捉えることができるDPAを代表する製品です。

 

 

また、河村様も保有されているサラウンドマイクDPA 5100は、内部に5個のミニチュアマイクを搭載した変わった製品で、その形から「おにぎり」と呼ばれたりもします。ただ実力は本物で、フィールドレコーディングでもよく使用されています。DPA 5100の試聴には弊社取扱いブランドKlang technologiesのイマーシブ・プロセッサーを使用してサラウンド試聴できるように用意しました。

 

 

このほか、今回試聴はできませんでしたが、バイノーラルマイクDPA 4560も展示しました。自身の耳に無指向性ミニチュアマイクを設置して、バイノーラル収音するという少し変わった製品ですが、こちらもひそかに注目を浴びていました。

 

 

 

さて本編に戻ります。
第二部は機材やSDカード等の話から始まりました。

■機材やオーディオフォーマットなどについて
SDカードの選び方のほか、収録にあたって最も重要なこととして「準備の大切さ」についてのお話がありました。河村様は、必ず出発の直前にバッテリー含めてすべて組みあげて、足りないものや忘れ物がないかなど確認をされるそうです。

あらかじめ用意したとしても、思わぬところで「ちょっとだけ・・・」と持ち出されてしまう場合もあるので、バッテリー含めて、とにかく直前にすべてくみ上げるようにしています。ちょっとしたアクセサリーでも、なければとても困ります。忘れ物がないように、直前にすべて確認すること、これがとても重要です。

実は河村様、イベント開催の前に北海道と沖縄に連続して収録に出られていたそうです。
フィールドレコーディングだけでなく、仕事現場すべてにおいて共通ですが、準備の大切さを改めて認識させられました。

このほか、飛行機に乗る場合はバッテリー容量に注意することや、「メジャー」は凶器とみなされて没収される場合があること(!)など、をお話しいただきました。

 

■シチュエーショントピック「花火」

▲長岡花火大会(©STUDIO ARM INC.)
個人的にはとても楽しみだったトピックです。
花火師さんとのつてがあるという河村様。某花火大会では、打上筒の横にマイクを設置して収音されているそうです。

  ジャマーは燃えやすいのでNG。ウレタンのウィンドフォームを二重巻きにしてDPA 4006を打上筒横に置きました。いくつかのマイクを試しましたが、多くのマイクは打ち上げ時の音圧や熱で壊れてしまう。そこでも大丈夫だったのがDPA 4006です。

とはいえ、通常は河川敷から収音します。

河川敷から収音するときに注意していることは、マイクの位置です。ディレイをつけやすい距離を計算して場所を決めています(音速は340m/s)。

  花火の収音にはDPA 5100サラウンドマイク)も使用されるそうです。DPA 5100は内部に5個のミニチュアマイクを搭載していて、前後左右の音を収録することができます。そこで河村様は上方向の音を録るため、DPA 5100上部のホルダーを利用してDPA 4011を上に向けて設置されるとのこと。

上の音が欲しいのでDPA 4011を組み合わせるのですが、DPA 5100との相性がとても良いので、きれいに混ざります。

▲花火の収音のために配置されているDPA 5100(©STUDIO ARM INC.)
花火の収音については、EQをかけるよりもマイクを増やす方が効果的だそうです。

位相やレイテンシーのずれが、むしろ花火らしく聞こえるんです。
それから、上空での破裂音、高音は録りにくいのですが、花火らしさのためにはとても重要です。花火というと低音に注目しがちですが、実は高音が大事です。

花火の収音にはDPA 4006が本当に良いです。
中低域から高音をDPA 4006、低音は低域専用を用意します。しっかりと役割分担をさせています。

 

時間の関係上、残念ながら最後のシチュエーショントピック「滝」にはたどり着くことができませんでした!

楽しみにしてくださっていたみなさま、申し訳ございませんでした。

予定していたトピック終了後、Q&Aコーナーでは、申込時に参加者からいただいていたご質問の中から、水中の収録についてお話をいただきました。

 

今回のトークイベントは、DPAユーザーでもあるエンジニアさんからの提案から着想を得ました。

マイクといえば「音楽」だけど、音楽以外で「音」に携わる仕事もたくさんあるよね?

DPAマイクの繊細な響きを明瞭に捉えることのできるクオリティと音質の一貫性、そして耐久性は、フィールドレコーディングや映画・ドラマの制作現場にとても適しています。

また、フィールドレコーディング・エンジニアをはじめ、映像コンテンツのサウンドや、映画・ドラマの録音など、音楽以外の音にまつわる仕事の面白さをより多くの方に知ってもらいたい、という思いから本イベントを企画・開催しました。今回の参加者には、フィールドレコーディング・エンジニア、録音技師、フォーリーアーティスト、コンテンツクリエイターなど、既に第一線でご活躍されている方も多くいらっしゃいましたが、開催後のアンケートからは、満足度の高さが伺え、次回開催を望む声も多く聞かれました。

今後も引き続き、企画していきますので、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います!
ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
 
<登壇者プロフィール>
 
河村 大 – Dai Kawamura -
株式会社Studio-ARM代表
イマーシブサウンドデザイナー/MAエンジニア

音響専門学校卒業後、都内MAスタジオ数社にて経験を積み、MAスタジオを設立。 映像音声・音声作品に関する、収録・選曲・Foly・音響効果・MIXまで全て一人で作業する。Stereo作品はもとより、5.1ch~43.4chまでのサラウンド・イマーシブメイクを得意とする。ASMR・VR・Binaural等の同録、環境音収録、映画・番組音声収録などで年間6ヶ月程度、国内外を移動している。特に密林・洞窟自然音収録・花火などの収録経験が多い。近年は実音を組み合わせて、人々がイメージする音場でのASMR・Ambisonicsに注力している。

代表作品:ウルトラマンゼロVRにてルミエール・ジャパン・アワード2017 VR部門 準グランプリ 受賞作品参加/【風景の中の感動を描く人 東山魁夷】映文連アワード2019 部門優秀賞 受賞・日本/視聴覚教育協会」優秀作品賞 受賞作品参加/【MONSTER HUNTER WORLD】環境音収録/サウンドドーム(43.4ch)作品【NighrFlower】音響制作/サウンドドーム(43.4ch)作品【聖地巡礼】音響制作/日経文化庁工芸技術記録映画【無名異焼 ―五代 伊藤赤水のわざ―】Folyサウンド・収録・選曲・MIX、【紬織 ―志村ふくみのわざ―】Folyサウンド・収録・選曲・MIX、【紋紗―土屋順紀のわざ―】Folyサウンド・収録・MIX

 

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