映画音楽界の巨匠であり数々の受賞歴を誇る作曲家のHans Zimmer氏が、2024年11月、大ヒットツアー「Hans Zimmer Live」を北米で開催しました。アメリカとカナダのアリーナ会場を回るこのツアーは、フロリダ州オーランドを拠点とするLMG Touringがサポート。観客は、「グラディエーター」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「ダークナイト」「インターステラー」「ライオン・キング」「ラストサムライ」「デューン猿の惑星」といったアカデミー賞やグラミー賞受賞作を含むジマーの名作サウンドトラックを楽しむことができました。
Hans Zimmer氏はツアー公式サイトで次のように語っています。「素晴らしいバンドと共に再び北米で演奏できることをとても楽しみにしています。この素晴らしいショーを皆さんと共有できるのが本当に嬉しいです。音楽は私たちをつなぐもの。私たちは常に心から最高の演奏をお届けします!」
■Hans Zimmer Liveを支えたのは、スタジオクオリティの音響技術
Hans Zimmerのツアーでは、スタジオレベルの音響が提供されました。その鍵となったのが、メインスピーカーシステムに恩恵を与えたFourier Audioの“transform.engin
ツアーのFOHエンジニア兼システムデザイナーであるColin Pink氏は次のように語っています。「transform.engin
ツアーでは、メイン用とバックアップ用の2台のtransform.engin
■多彩な音楽構成を支える柔軟な音響処理
ツアー中、Colin Pink氏はtransform.engin
「多くのエンジニアは、スピーカーから出力する前にマスターバスにマスタリングチェーンを書けますが、私の場合、オーケストラを組み合わせるスタイルのショーでは全く異なるアプローチを取ります。バンド、打楽器、オーケストラ、そしてプレイバックと、それぞれダイナミックレンジが大きく異なるためです。私はそれぞれのセクションに対応する4つの独立したマスタリングバスを使用して、それぞれのダイナミクスを調整し、全体を一体感のある音に仕上げています。一つのバスにまとめてしまうと、ドラムが潰れすぎたり、オーケストラの細かい音が持ち上がらなかったりしてしまいます。セクションごとに分けて処理することで、ダイナミクスをより正確に調整できるのです。
このようなオーケストラとバンドが融合するハイブリッドなショーでは、ジャンルがひとつだけの演奏よりも細やかな対応が求められます。transform.engin
■ライブ演奏でのマイク配置とダイナミクスの調整
「さらに、スタジオであれば、バイオリンにマイクを4フィート(約1.2メートル)以内に近づけることは普通ありません」とPink氏は説明します。「しかし、ライブでははるかに細かい制御が必要で、他の音が混ざるのを可能な限り抑えるため、全ての楽器を近接マイクやクリップオン・マイクで収音します。その結果、楽器のダイナミクスレンジが不釣り合いに増幅され、耳で感じるオーケストラの自然な音とは異なるものになってしまいます。
そこで私は、FabFilter Pro-Q 3のようなプラグインを多用してダイナミクスを抑えています。transform.engin
■新機能「Cuelists」がもたらすライブ音響の進化
Pink氏は最近、transform.engin
「Cuelistsは素晴らしい機能です」とPink氏。「この機能のおかげで、プラグインのパラメーターを手動でも自動でもシームレスに変更できるようになりました。ショーの最中にいちいち調整を考える必要がなくなるので、その分、ミキシングという本来の重要な作業に集中できます。この理由だけでも、Fourier Audioのこの製品がいかに優れているかが分かります。」